2限：有機酸について

1限では、一般的なもろみ酢に含まれる栄養成分をご紹介しました。2限ではもろみ酢に含まれる栄養成分のうち「有機酸」についてお話しします。

・有機酸とは

有機酸とは、酸の性質をもつ勇気が号物の総称で、代表的なものは柑橘類に含まれるクエン酸です。主に果実や野菜によって作られ、腸内細菌のバランスを整える作用のほかにも、大腸の中の悪玉菌を抑える力があることが知られています。というのも、有機酸は頂戴のpHを下げ、弱酸性に保つため、悪玉菌は殺菌され、善玉菌だけが腸内に残ります。また、有機酸には腸内バランスを整える他に、以下のようなパワーがあることが知られています。

・腸内環境を改善→肌の健康を保ち免疫力がアップ

・血行や代謝の促進→若々しさをキープ

・脂肪酸をエネルギーに変換→疲労回復、体力の維持

・細胞のエネルギー源を貯蔵→スタミナアップ

・筋肉、心臓、腎臓のエネルギー源→臓器の活性化

・カルシウム吸収を促進→骨粗しょう症予防

それでは、具体的にもろみ酢にはどんな有機酸が含まれているのかご紹介していきます。

・クエン酸

クエン酸は梅干しやレモンに含まれる“すっぱい”成分です。食用でないものは、一般的な薬局でも手に入りますので、家庭内では清掃や洗濯にも利用されています。また、生体内では、クエン酸回路（TCAサイクルとも呼ばれます）を回すのに役立ちます。クエン酸回路の主な役割は、私たちヒトが生きるのに必要なエネルギー（ATPとも呼ばれます）の原料を供給することです。私たちヒトは摂取した食べ物を糖質や脂質に変換し、さらにそれをクエン酸回路でエネルギーに変換することで、体にパワー供給をしています。そのため、クエン酸回路はヒトのエネルギー生産において、とても重要な役割を持っています。

・リンゴ酸

リンゴ酸は、その名の通り、リンゴやザクロ・サクランボなどの果実に多く含まれている有機酸です。リンゴ酸は爽やかな酸味を持ち、食品の酸味料として多く利用されています。生体内ではクエン酸同様にTCAサイクルを回すのに役立ち、疲労回復や新陳代謝アップが期待できます。また、クエン酸とともに摂取すると、殺菌作用や胃腸の働きを活発にすることが知られています。意外なところでは、他の有機酸・経皮吸収促進剤と組み合わせることで、ダメージヘアの空洞を埋めるトリートメント効果をもつといわれているため、ヘアケア剤に利用されています。

・コハク酸

コハク酸は、貝類に含まれる旨味成分です。一般的な利用法は、食材の旨味より出すために、グルタミン酸ナトリウムと併用して使われたり、調味料の塩味などを調整しマイルドにするなどして使用されます。コハク酸の生体内での働きとしては、これまたクエン酸回路の一員として、そして酸化還元反応過程の中間体として重要とされています。コハク酸は様々な機能性が報告されており、そのパワーはがん細胞の増殖抑制から肌のひきしめ効果まで多岐に渡ります。しじみなどの貝類に多く含まれていますが、最近はサプリメントにも利用されており、日常の生活でも手軽にコハク酸を取り入れることができます。お酒をよく飲まれる方は、コハク酸のサプリメントなどを休肝日に摂取し、肝臓を労わってあげましょう。

・酢酸

酢酸は米酢などに代表されるように、お酢の主成分となっています。ツンとした刺激臭が特徴的で、食用酢は一般家庭で広く利用されています。生体内ではアセチルCoAという物質に変換され、TCA回路でクエン酸となり代謝されたのち、ヒトのエネルギー源であるATPが生成されます。酢酸はクエン酸同様に、乳酸の蓄積を抑制し、また血行をよくします。そのため、酢酸を摂ると、血管拡張により血行が促進され、筋肉中の乳酸の分かいが早まるといわれています。また、酢酸はカルシウムを溶けやすくし、腸吸収を助けるため、骨粗しょう症の予防にも一役買っています。

もろみ酢には、有機酸の中でも特にクエン酸が豊富に含まれています。クエン酸は代謝アップや免疫力アップ、そして疲労回復などのパワーが知られていますので、是非生活の中にもろみ酢を取り入れてみてください。