γ-アミノ酪酸 GABA（ギャバ）

・γ-アミノ酪酸とは？

γ-アミノ酪酸というと聞き慣れないかもしれませんが、最近チョコレートなどの食品に含まれている通称「GABA(ギャバ)」です(GABAはGamma-AminoButylicAcidの頭文字をとったものです)。GABAは天然のアミノ酸のうちのひとつで、植物や動物、そしてわたしたちの体内にも広く存在します。GABAはわたしたちのからだを構成するタンパク質をつくるアミノ酸とは異なり、主に脳や脊髄で「抑制性の神経伝達物質」として働いています。つまり、興奮を鎮めリラックスをもたらす役割を果たしています。近年では、このリラックス効果からGABAを含んだ食品が多くみられますので、身近な食品でストレス対策ができそうです。

・GABAの歴史

1950年、GABAは初めて哺乳動物の脳から抽出されたのをきっかけに、多くの研究がなされました。やがてGABAは神経中枢で働く神経伝達物質であることがわかってきたことから、GABAを主成分とした医薬品が承認されたり、消化管での機能なども発見されました。また1984年頃、GABAを多量に含むお茶が開発されたことや、チョコレートなどの菓子商品にも使われたことから、GABAの名前が一般消費者にも広く知られることとなりました。それ以降は、リラックス効果や脳細胞の代謝活性化作用などが紹介され、今でもGABAは多角的な研究が進められています。

・GABAの働き

GABAは神経伝達物質として働き、気持ちを落ち着かせる「抗ストレス作用」があるといわれています。この働きは、ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる働きをしている他に、ドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰分泌を抑えて、リラックス状態をもたらす作用があります。私たちヒトは、現代社会のストレスに頻繁にさらされていることから、体内にあるGABAがストレス軽減のために使われ、常に不足しやすい状態とされています。GABAは通常体内で十分量が作り出されますが、長期間のストレス環境下や高齢になるにつれて体内のGABA量が少なくなる傾向があるとされています。そのためGABAを食品やサプリメントから補うことで、ストレス軽減などの効果が期待できると考えられています。

・GABAを含む食品

GABAはわたしたちヒトはもちろん、植物や動物ももっている天然のアミノ酸です。そのためわたしたちが日常で口にするさまざまな食べ物にも含まれています。よく知られているのは発芽玄米で白米の約10倍量のGABAが含まれています。このほかにも、トマトやナスなどの野菜や、メロンやみかんなどの果物、そしてキムチなどの漬物や発酵食品にもGABAは多く含まれています。最近では飴やチョコレートなどの菓子類や、コーヒーなどにもGABAを添加した食品が開発・販売されるようになってきており、サプリメントなどとともにわたしたちのストレス軽減に一役買っています。