3限：アミノ酸について

私たちヒトは約20種のアミノ酸を必要としますが、近年の研究ではさまざまな機能が確認され、さらなるアミノ酸への関心が高まっています。そこで3限ではもろみ酢に含まれるアミノ酸と栄養について、ご紹介します。

・アミノ酸の味

私たちの身体を構成するタンパク質は、毎日必要な量をアミノ酸から合成しています。合成に必要なアミノ酸は、食事で摂取したタンパク質を消化・吸収して使われます。そのため、食べる者にどんなアミノ酸が含まれているかを上手に選択して摂取することが体の栄養バランスを保つ上で重要です。しかし、困ったことに、タンパク質には味がないためどんなアミノ酸が含まれているのか目印になりません。一方、個々のアミノ酸はさまざまな味をもつ物質です。タンパク質が分解されてアミノ酸になると、グリシン・アラニンなどは甘みを示します。またバリン・ロイシンなどは苦味、アスパラギン酸、グルタミン酸などは酸味とうま味を呈します。そして大変優秀なことに、私たちはここのアミノ酸の味を、食事をとっているときに、形と色（視覚）、匂い（嗅覚）、そして味（味覚）の情報と消化吸収後に手に入る個々のアミノ酸の種類と量まで記憶しているのです。食材によっては旬になるとアミノ酸量が変動し、季節に応じておいしさも変化しますが、私たちは毎日のアミノ酸を記憶していることから、季節による微妙な変化も判断し「旬」の食べ物や体に不足しがちなアミノ酸を欲するようになります。ヒトのアミノ酸分析能力は、分析機器以上にきわめて早く、そして正確といえます。

・うま味成分アミノ酸

私たちヒトの腸内にいる大腸菌は、消化物を栄養源にしています。大腸菌は、好みのアミノ酸を認識する能力があり、ヒトが摂取した栄養の内容を判断し、好ましいものに近づいて摂取します。大腸菌に種々のアミノ酸を与えると、うま味成分として知られるアスパラギン酸には大腸菌が集まりますが、苦味成分であるトリプトファンでは逃げてしまいます。うま味成分で私たちのよく知るところでは、味噌汁や鍋の出汁となる昆布や鰹節、しいたけなどに代表される「だしの味」が、うま味と呼ばれてきました。うま味の成分はアミノ酸の一種のグルタミン酸と核酸系の物質のことをさしています。ヨーロッパではアミノ酸類が豊富な肉や乳製品が中心の食生活であったため、料理に特にうま味を加える必要はありませんでしたが、日本では味の少ない米を主食にしてきたため、うま味を加える必要があり、古くから味噌や醤油のようにうま味のある調味料を積極的に利用してきたのです。

・ストレス対策栄養素アミノ酸

これまでアミノ酸はうま味成分としての栄養素だとご紹介してきましたが、実は複雑な悩みを抱えるこの現代で、私たちのストレス対策に関係する栄養素としてグルタミン酸が挙げられます。グルタミンは精神的、あるいは運動によるストレスによって貯蔵場所の筋肉から取り出され、使われます。グルタミンは体内で合成されますが、過度なストレス時には体内の生合成だけでは不足してくるおそれがあります。またグルタミンはストレスだけでなく、傷が治るのを早めたり、小腸や免疫細胞のエネルギーにもなります。そのため、ストレス時にはグルタミンを含むアミノ酸を、しっかり摂りましょう。

・質の良い睡眠にもアミノ酸

アミノ酸は栄養素として、様々な働きをしますが、リラックスした生活にも欠かせない存在であることはご存知でしょうか。私たちヒトが、毎日を元気に快適に過ごす秘訣の中に、「質のよい睡眠」が挙げられます。睡眠のリズムをつくるホルモンとして知られるメラトニンの原料となるのがアミノ酸の一種であるトリプトファンです。メラトニンは私たちの体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠のスイッチを切り替えて、自然な眠りを誘う作用があります。そのため睡眠ホルモンと呼ばれていますが、抗酸化作用にも優れているため、細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取る作用も知られています。また、睡眠のリズムにはグリシンも深くかかわっています。グリシンは血流量を上げる力があるとされ、就寝前にグリシンを摂取することで、血流量がました手足から放熱され、深部体温の低下を促して質の良い睡眠をサポートすることができます。

もろみ酢には、米酢の100倍以上ともいわれるアミノ酸が多く含まれており、様々なストレスや悩みを抱える現代人をサポートするのに最適です。またアミノ酸量だけでなく、種類も豊富に含まれていますので、食生活が偏っている方や、ダイエット中で食事量を控えている方、また日々の食事にアミノ酸をプラスしたい方に、おすすめの健康飲料です。